Google Answers あれこれ - Part 3. リサーチャー訓練マニュアル
Google Answers がサービスを停止した2006年11月以後も、過去の質問と回答のページは閲覧する事ができます。
過去ログ以外のページは見られなくなっているものと思っていましたが、Part 2 で触れた Jessamyn West 女史の別の記事から、リサーチャー関係の文書もまだ見ることができる、という事がわかりました。
Jessamyn West 女史は Google Answers の内情を書いた記事を公開したわけですが、これによって規約違反を問われ、リサーチャーのログイン資格を剥奪されています。
この件に関する彼女の記事、Google Answers Back Or How to Become an Ex-"Google Answers" Researcher(Google Answers の裏側、または "Google Answers" のリサーチャーをクビになる方法)の最後の部分に、いくつかリンクがありました。
私が興味深いと思ったのは、Google Answers: Researcher Training Manual、すなわち「リサーチャー訓練マニュアル」です。
チュートリアルやスタイルガイドも読めるのですが、長文なので、流石に全文を和訳するつもりはありません。
このエントリでは、"IV. Do's & Don'ts" の記述をざっくりと和訳してみます。
ちなみに、"Do's & Don'ts" は英語としては簡単ですが、いざ日本語に訳そうとすると結構むずかしいです。
「やるべき事としてはいけない事」では芸がないので、江戸時代風ですが「心得とご法度」としてみました。
心得:
- 常に礼儀正しくフレンドリーに。詳しくは スタイルガイド を参照してください。
- スタイルガイド に記載されているフォーマットや回答例に従いましょう。
- Google Answers には不適切と思われる質問があったら、私たちにメールで知らせてください。
- Google のウェブサイトにすでに記述されているような Google に関する質問があったら、私たちにメールで知らせてください。(訳注:ヘルプとかで書いてあるにもかかわらず質問が出るという事は、ヘルプの記述やナビゲーションの仕方に問題がある、という事でしょう。某所の人力検索サイトにも見習っていただきたいものです)
- 回答には正確な情報を。
- 可能な限り、複数のソースでクロスチェックしましょう。
- 質問が理解できなかったら、説明を求めましょう。(訳注:質問をロックしたリサーチャーは、"Ask for clarification" という欄で質問者に補足情報を求める事ができました)
- 質問に対して、可能な限り直接的かつ詳細な回答をしましょう。
- その質問に関する特別な知識を持っている場合は、それを使って回答と検索方法の説明に役立てましょう。
- 適切と思われる場合は、回答に当たって検索以外の手段を使用しましょう。例えば、書籍、図書館、新聞、専門家への電話、専門家の友人へのメールなど。
- 質問者にとっての有用度という観点から、回答内の情報やリンクに優先順位を付けましょう。
- 検索に使用したソースは全て引用し、引用であることを明示するために引用符を付けましょう。詳しくは スタイルガイド を参照してください。
- 自分の意見が含まれる場合、または検索によって得られた分析を記述する場合は、その旨を回答に明示してください。
- 定期的に他の質問と回答、そしてその評価を読み、良い回答がどのようなものであるかの理解を深めてください。
- 質問者からの詳細説明の要求には、可能な限り早く対応してください。
- 正しい文法と句読法を使いましょう。
- 簡潔な回答を心がけましょう。
- 一に校正、二に校正、三四がなくて五に校正。
ご法度:
- コンテンツの盗用、ないし引用以外での著作権のあるものの使用は行なわないでください。
- Researcher Guidelines(リサーチャー・ガイドライン) から:「リサーチャーは、ウェブサイトやその他のソースからコピーを行なってはならない。リサーチャーは、引用や短いテキストの言い換えを行なっても良いが、その必要がある場合に限り、かつ回答に著者と出典(ウェブサイトのリンクを含む)を明記している場合に限る」
- 引用の推奨フォーマットについては、スタイルガイド を参照してください。
- 違法あるいは他人に害を及ぼすような行動に質問者を導くような情報は提供しないでください。
- Google Answers のポリシーに反している質問には回答しないでください。
- 自分の検索能力、または要求される専門知識から、正確で有用な回答ができないと思われる質問には回答しないでください。
- Google Answers の質問を他の検索サービスで質問しないでください。
- 利害の衝突があるために客観的な回答ができないような質問には回答しないでください。(例えば、特定の製品やサービスや会社への投資リスク。政治的展望など)
- 回答には中傷やその他の不適切な言葉は使用しないでください。Google のエディターが削除します。
- 個人的な連絡先や電話番号は投稿しないでください。
- Google Answers やリサーチャーとしての経験に関する文書や意見を公表する時は、事前に Google の許可が必要です。このような場合、Google は公表前のコピーなどでその内容を調査します。Google の事前の許可なしに文書を公表したリサーチャーは、権限を剥奪される可能性があります。詳しくは、Researcher Guidelines を読むか、私たちにメールしてください。
現在の Q&A サイトは集合知指向ですから質より量が問われるようですが、良質の回答を目指す人には参考になる部分もあるのではないでしょうか。
「正確で有用な回答ができないと思われる質問には回答しないで」だと、Q&A サイトが成立するか疑問だったりしますが。
次回は、「人類の叡智の結晶」と絶賛された伝説的回答「1ガロンの石油に恐竜は何匹いるのか」を訳してみます。
Google Answers あれこれ
- 人力検索との比較
- リサーチャー
- リサーチャー訓練マニュアル
- 「1ガロンの石油に恐竜は何匹いるのか」