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ささいな日常の記録

ザビエルの書簡

人力検索ザビエルと忍室の交流を紹介したサイト、書籍があれば教えてください で回答に引用した、オンラインで読める The life and letters of St. Francis Xavier (1872年出版)は、ザビエルの書簡(の英訳)を中心にした評伝です。
質問者さんからのリクエストもあったので、忍室が出てくるあたり (241ページ ) をざっくり翻訳してみます。
過去に刊行された書籍には、拙訳よりも良い訳の本もあるとは思いますが。
1549年11月11日付け、鹿児島 (Cagoxima) からの書簡です。




私は、僧侶たちの中でも長く修行を積んだ人たちとしばしば意見を交わした。中でも一人の僧侶は、修行の量と地位の高さの両方で周囲の人たちから尊敬されていたが、同時に80才という高齢の点でも誉れが高かった。彼は言わば僧正(ビショップ)のような地位にあり、忍室 (Ningh-sit) と呼ばれていた。これは日本語で「真実の心」という意味だ。名前の通り、幸福な人である! 私は彼と何度も会話し、次のような事がわかった。霊魂が不滅かどうか、また肉体が死んだとき霊魂も滅びるのか、についての忍室の見解は、不確かであり疑わしい、というものだった。また、ある時は肯定したものを別の時には否定していた。私は、他の僧侶たちも彼と似ているのではないかと怖れている。彼がどんなに私を気に入っているか、想像もつかないだろう。実際、僧侶たちも他の人たちも、私たちの一行を歓迎しているのだ。我々がポルトガルから6000海里以上の旅をして日本に来た目的が、ただ単に、彼らに神聖な物事を教え、クリスチャンの信仰を説明し、彼らが考えている永遠の救済への道が間違っている事を示す、というだけのためだった、というのが彼らには驚きだったようだ。そのような発想が心に浮かんだのは、神自身のしわざに違いない、と彼らは口をそろえて言ったのである。




この後、「日本には聖書を受け入れる余地は充分にある」とか「日本人に十戒の説明をした」とかの記述が続きますが、本題からはそれるのでこのくらいで。


以下、余談。
Internet ArchiveText Archive にあるテキストをまともに読んだのは初めてだったのですが、見開きモードでの操作性にコツがあるのがわからず、ページが飛んでしまう事が多々ありました。
基本は、右ページでクリックすれば次のページに、左ページでクリックすれば前のページに、というものです。
ズームをかけたときは、中央部のあたり(つまり二つのページの間)でクリックするとページめくりです。
コツさえつかめば、さくさくページ移動できるんですが。