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ささいな日常の記録

フランク・R・ポール

SF ファンなら、名前くらいは聞いた事があるかもしれません。
1920年代から30年代にかけて、『アメージング・ストーリーズ』などのパルプ雑誌の表紙を描いた画家さんです。
Wikipedia では フランク・R・パウル という表記になってますが、私は「ポール」の方が馴染み深いです。

さて、このブログを立ち上げるにあたって、背景画像を設定する事も考えていました。
著作権を考えるとパルプ雑誌の時代くらいまで遡らないと、という事で調べてみると、フランク・R・ポールは1963年に亡くなっています。
没後52年ほど経過しているので、フランク・R・ポールの作品は日本の著作権法ではパブリックドメインだろうと考えました。
しかし、この計算には致命的な欠陥があったのです。

日本における外国作品の著作権には 戦時加算 というものがあって、アメリカの場合、3794日≒10年5ヶ月弱が加算されます。
ですので、フランク・R・ポールの死亡による著作権切れまで、あと8年位あるわけです。

では、なぜ Wikipedia に『アメージング・ストーリーズ』の表紙絵、例えば

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/4/4e/Amazing_Stories_1927_08.jpg/360px-Amazing_Stories_1927_08.jpg

が掲載されているのでしょう?

ファイル:Amazing Stories 1927 08.jpg に記述されていますが、1927年に発行された『アメージング・ストーリーズ』の表紙絵は、28年後に著作権更新の手続きを取ると著作権の期間が延長されるカテゴリーのものになります。
『アメージング・ストーリーズ』の著作権を持っていた Experimenter Publishing 社も Ziff-Davis 社もこの手続を取っておらず、表紙絵はアメリカでパブリックドメインの状態にあるのです。
絵を描いたのはフランク・R・ポールですが、これは会社に雇われて行った仕事であり、著作権は個人ではなく会社にあるという解釈になります。

というわけで、表紙絵をそのまま使う分には著作権違反を気にする必要はないようです。
ロゴに商標権があるだろうと、画像をトリミングしたりして時間を無駄に使ったのは内緒です。

ちなみに、フランク・R・ポールの画集も出ているようです。

Frank R Paul: The Dean of Science Fiction Illustration

Frank R Paul: The Dean of Science Fiction Illustration


表紙のこの画像、
q.hatena.ne.jp
の私の回答で特定した、スターログ1981年2月号の表紙でも使われていたりします。
これもフランク・R・ポールだったんですね。