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ささいな日常の記録

原文を読まないとわからない事

id:chinjuh さんの Tweet から。
ヒトラーの「名誉市民」取り消し、故郷の市議会が決定


chinjuh さんもつぶやいているように、この記事だけでは謎が多いです。
原文である Hitler's hometown revokes his honorary citizenship を読んでみた所、翻訳として大きな間違いはありませんが、かなりの抄訳である事がわかりました。
例えば、小見出しの最後にある、

even if he never actually was awarded one

ヒトラーは実際には名誉市民になっていなかったとしても」が抜けています。
以下、和訳されていない部分の拙訳を赤字で記します。




 ナチス・ドイツの指導者アドルフ・ヒトラーの生誕地であるオーストリアのブラウナウ市の議会が7日夜、ヒトラーに与えられていた可能性が少しでもあり、かつ1945年のベルリンでヒトラーが自殺した事によって自動的に消滅しない全ての称号を取り消すことを全会一致で決定した。
 オーストリアの通信社に引用された議会のコメントによれば、「ブラウナウ市がアドルフ・ヒトラーに名誉市民の称号を与えたという記録は見つかっていないが、アドルフ・ヒトラーに名誉を与える事は象徴的なものとなりうるので、予防的に取り消して破棄された」との事。
 ヒトラーの故郷であるランスホーフェンは1933年にヒトラーに「名誉市民」の称号を付与。その6年後の1939年にランスホーフェンはブラウナウ市と合併している。(訳注:従って、ブラウナウ市が直接に名誉市民の称号を与えたかどうかは不明確ですが、与えたとみなされる可能性はあるでしょう)
 ブラウナウ市はまた、ナチス・ドイツによるオーストリア併合が行われた1938年にヒトラーに対して与えられた居住権を取り消すことも決めた。ドイツ帝国に併合されるに当たって、オーストリア人がどれほど歓迎あるいは抵抗したかは、現在でも論争の火種になっている。
 オーストリアではヒトラーが権力を掌握していた時代、多くの地方自治体がヒトラーに対して「名誉市民」の称号を与えている。そして、メディアが大騒ぎした事によって、今や多くの自治体が正反対の動きを取るようになっている。
 アムシュテッテン市の議会は、この5月にヒトラーの名誉市民を取り消したが、その際に騒動が発生している。右翼の自由党(Freedom Party)の議員2名が棄権したのだ。彼らの言い分は、「ヒトラーの死によって称号自体が終わっているので、投票する事自体が不必要である」という事だった。




というわけで、ヒトラーの名誉市民を剥奪するかどうかもさる事ながら、議案に賛成するかどうかという「踏み絵騒動」の要素が強い記事なのではないかと思われます。