Instrumentality

ささいな日常の記録

Google Answers あれこれ - Part 1. 人力検索との比較

2006年11月にサービスを停止した Google Answers について書いてみます。
もちろん私はリアルタイムのユーザーではなかったので、後追いで調べられた範囲での事です。
主として Wikipedia 英語版の Google Answers を参考にしています。
GigazineGoogleはなぜ「全自動化」できないサービスでは負けるのか?〜前編〜Googleはなぜ「全自動化」できないサービスでは負けるのか?〜後編〜 もご参照下さい。




Google Answers のサービス開始は、2002年の4月でした。
約1年間のベータ版を経て、2003年の5月には正式版のサービスとなったようです。
有料のQ&Aサービスを始めるに当たって、Google が重視したのは回答の質でした。
質問はアカウントを取れば誰でも可能だったのに対して、回答者は Google が認定した「リサーチャー」に限定されていました。
リサーチャーの人数は時代によって多少増減があったものと思われますが、500人から800人(Adieu to Google Answers)だったようです。
リサーチャーになるためには、Google が出した選抜試験問題に回答して合格する必要がありました。
しかも、リサーチャーになった後でも、質問者からの回答評価が低い人はリサーチャーの資格を剥奪される、というシステムになっていたのです。


それでも、Google Answers はサービス停止の運命をたどりました。
一方、はてな人力検索は、いまだにサービスを続けています。
Google Answers と人力検索との違いはどこにあるのでしょう。
両者を比較した表を作ってみました。

Google Answers 人力検索
発案者 Larry PageGoogleの創業者) 近藤淳也はてなの創業者)
サービス開始 2002年4月 2001年10月(有料化)
回答報酬 2〜200ドル(+チップ100ドルまで) 60ポイント〜(各回答者に振り分け)
主催者の取り分 報酬の25%+質問料50セント 報酬×5%
回答者 リサーチャー限定 はてなユーザーなら誰でも可
回答数 一問一答 質問者の設定による


回答者目線では Google Answers の高額の報酬と JRA なみの控除率が目を引きますが、「回答者」と「回答数」の欄にご注目下さい。
人力検索では、一つの質問に対して多くの回答を求める事ができるのです。
当然の事ながら、回答の質としては玉石混交になりますが、「三人寄れば文殊の知恵」という言葉もありますし、あるテーマに沿った多くの情報を集めたいという場合にも有効です。
これは、後発で無料の Yahoo! Answers が採用したシステムでもあり、Google Answers では大規模なシステム変更を行わなければ不可能だったものです。
Wikipedia の情報が充実するにつれ、シンプルな質問であれば容易に回答が見つけられるようになってきています。
Gigazine の言葉を借りて言えば「みんなの叡智を結集させる方向(Web2.0的方向)」を最初から取り入れていたというのが、人力検索が生き残っている理由の一つではないでしょうか。




次回は、Google Answers のリサーチャーについてまとめてみる予定です。




Google Answers あれこれ

  1. 人力検索との比較
  2. リサーチャー
  3. リサーチャー訓練マニュアル
  4. 「1ガロンの石油に恐竜は何匹いるのか」