うろ覚え系の検索手法
「うろ覚え系」とは
人力検索での質問の中に時々ある、「ストーリーの一部は思い出せるんだけど、題名が思い出せない」という系統の質問を、「うろ覚え系」と呼んでいます。
探すのには手間がかかりますが、正解が一つだけなので、割りと好きな方のジャンルです。
最近の質問だと、こちら。
もちろん私は、このアニメを見たことも聞いたこともありませんでした。
(既知のアニメなら簡単ですよね)
ブラウザの履歴が残っているうちに、回答に至った経過を残しておきます。
キーワードの準備
質問文には、手がかりになるキーワード候補がいくつかあります。
文章の中から、キーワードになりそうなものとそうでないものを取捨選択する、というのが最初の段階です。
今回の例で言えば、
- 100話完結
- CSで放送
- アニメ
- 1話はとても短い
- キャラクターはCG
- 海外で作られた
という所でしょうか。
『ハロー!ハロー!』とか「ゾンビものではありません」は、見つけた後の検証には使えますが、絞り込みには使えないと考えました。
『ハロー!ハロー!』が、もっと特徴的なセリフだったら話は違いますが。
検索開始
「海外もの」という事で、まずは google.com を使って、英語のキーワードで検索を開始しました。
質問が投稿されてから一晩経過していたので、日本語で簡単に検索できるものであればすでに他の回答者さんが見つけているだろう、という読みもあります。
キーワードで試したのは、
- short animation 100 cg
- short animation 100 cg sf
- short animation cg sf tv
でした。
「SF」という質問文にはないキーワードを使っていますが、ストーリーからすれば SF でしょうし、ほのぼの系の CG アニメを除外する意味で使ってます。
しかし、複数のページを開いてもヒットしません。
そこで、英語での検索は一旦あきらめて、日本語での検索に切り替えました。
(検索を始めてからここまで10分)
方針転換
日本語で検索するとなれば、外せないのが「CS」というキーワードです。
映画や地上波の番組を除外できる事が期待されます。
- CS cgアニメ "100話"
- CS sf cgアニメ "100話"
- CS sf cgアニメ "100話" 未来
- CS sf cgアニメ "100話" 海外
の順に試してみました。
"100話" と引用符で囲っているのは、英語版の検索の時に「100」だけだとノイズが多かった経験からです。
最終的にたどり着いたキーワードは、「CS sf cgアニメ "100話" 海外 短編」です。
CS sf cgアニメ "100話" 海外 短編 - Google 検索
トップページには星のカービィやらケロロ軍曹やらが出てきて道は遠そうですが、約986件まで絞り込めたという所が期待を持たせます。
後は根性です(^^;
1ページ10件で、5ページ目に次のサイトがヒットしました。
(今検索しなおしたら6ページ目でしたが)
偏り、スカパー情報: 10/30(木)今日の海外ドラマ(00:00~12:00)
この長いページの下の方に、こんな記述があります。
00:55-01:00
アフターワールド #67第67話「地底都市」
クール!エッジー!サスペンス満載!目が離せない、フルCGアニメーション!ある朝、目覚めると自分以外の人間が跡形もなく消えていた…。世界にいったい何が起こったのか?何故自分は無事だったのか?そして、家族は…。人類滅亡の謎と愛する妻と娘を探すため、ラッセル・シューメーカーの3,000マイル(約4,800km)にも及ぶ、果てしなき孤独な旅が始まる!
これで、タイトルは『アフターワールド』らしいとわかりました。
もう勝ったも同然です。
キーワードを「アフターワールド」にして見つけた、ソニーの公式サイト afterworld アフターワールド - オフィシャルサイト で答え合わせ。
(検索を始めてからここまで約20分)
ストーリーは合致しますが、ここは『ハロー!ハロー!』も押さえておきたい所です。
動画を確認しようとリンクをクリックしても見る事ができません。
後で確認した所、どうやら動画ファイルがサーバーから削除されているようです。
仕方がないので YouTube を検索して、回答に貼ったエピソード1の動画を発見。
『ハロー!ハロー!』が出てくるまで結構長く待ちましたが、これも確認した上で、回答を書き始めました。
途中、DVD 情報を探したりしたので、検索開始から回答投稿まで小1時間かかってます。
最短経路を探してみる
さて、正解がわかった所で、もっと効率的な探し方があったかを考えてみます。
まず、ソニーの公式サイトですが、肝心のストーリー紹介が画像になっているので、どんなにキーワードを工夫しても、タイトルがわからない状態でこのページにたどり着くのは困難だと思います。
また、発見のきっかけになったスカパー情報のページですが、例えばキーワードを「CS cgアニメ "100話" 海外ドラマ 短編」にすると、2ページ目に出てきます。
CS cgアニメ "100話" 海外ドラマ 短編 - Google 検索
しかし、出てくるのは 偏り、スカパー情報: 6/10(火)今日のアニメ(12:00~04:00) ですので、ここに『アフターワールド』の情報はありません。
「1話はとても短い」を「短編」ではなく、「3分」に決め打ちすれば、cgアニメ SF 3分 - Google 検索 の2ページ目に afterworld (アフターワールド) 映画作品情報 - シネマカフェ が出てきます。
多分これが最短でしょうけど、5分決め打ちは考えてましたが、3分というのは想像を超える短さだったので、初見では無理がありそうです。
ちなみに、"100話" を外すとヒット数が膨大になって心が折れます。
実際は130話だったので正確な情報ではなかったわけですが、それでも正解にたどり着くのには有効な情報であったと思います。
ここはどこでしょう Windows 10 バージョン
「ここはどこでしょう」とは
5~6年ほど前の人力検索で流行った質問というかクイズに、「ここはどこでしょう」というのがありました。
質問に写真を1枚添付して、写真の場所がどこかを当てるという趣向です。
その頃は Google の鬼のような類似画像検索がなかったので、TinEye(まだやってるんだ)とか GazoPa(日立の類似画像検索エンジンでしたがサービス終了)とかの非力なサービスでヒットしない場合、Google でキーワードをあれこれ工夫しないと正解に辿りつけない、という時代でした。
私も出題したり回答したりと楽しませていただきました。
Google の類似画像検索が出てから「ここどこ」は下火になってますが、写真撮影者がわざと場所を特定しにくく撮った写真に関する質問
こちらの画像がどこの国で、どこの地域であるか教えて下さい。 … - 人力検索はてな
これの場所を当てる事ができたのも、過去の「ここどこ」で鍛えられたおかげだと考えてます。
Windows 10 のロック画面
さて、Windows 10 の起動時やスリープから復帰した時には、ロック画面の画像がいろいろ変わります。
Microsoft が選んだ様々な画像が出て、気に入ったかどうかを MS に送信する事ができたりします。
例えば、こんな画像。
(大きな画像が見たい人は こちら の「オリジナルサイズを表示」をクリックしてください)
プロかセミプロの人が撮ったと思われる美麗な画像ですし、どこの写真かを特定したくなるわけです。
暇な時に写真の場所を検索して楽しんだりしてます。
「ひとりここどこ」ですね。
簡単な物もありますが、けっこう難しい物もあったりします。
では問題です。上記写真の、ここはどこでしょう。
フランク・R・ポール
SF ファンなら、名前くらいは聞いた事があるかもしれません。
1920年代から30年代にかけて、『アメージング・ストーリーズ』などのパルプ雑誌の表紙を描いた画家さんです。
Wikipedia では フランク・R・パウル という表記になってますが、私は「ポール」の方が馴染み深いです。
さて、このブログを立ち上げるにあたって、背景画像を設定する事も考えていました。
著作権を考えるとパルプ雑誌の時代くらいまで遡らないと、という事で調べてみると、フランク・R・ポールは1963年に亡くなっています。
没後52年ほど経過しているので、フランク・R・ポールの作品は日本の著作権法ではパブリックドメインだろうと考えました。
しかし、この計算には致命的な欠陥があったのです。
日本における外国作品の著作権には 戦時加算 というものがあって、アメリカの場合、3794日≒10年5ヶ月弱が加算されます。
ですので、フランク・R・ポールの死亡による著作権切れまで、あと8年位あるわけです。
では、なぜ Wikipedia に『アメージング・ストーリーズ』の表紙絵、例えば
が掲載されているのでしょう?
ファイル:Amazing Stories 1927 08.jpg に記述されていますが、1927年に発行された『アメージング・ストーリーズ』の表紙絵は、28年後に著作権更新の手続きを取ると著作権の期間が延長されるカテゴリーのものになります。
『アメージング・ストーリーズ』の著作権を持っていた Experimenter Publishing 社も Ziff-Davis 社もこの手続を取っておらず、表紙絵はアメリカでパブリックドメインの状態にあるのです。
絵を描いたのはフランク・R・ポールですが、これは会社に雇われて行った仕事であり、著作権は個人ではなく会社にあるという解釈になります。
というわけで、表紙絵をそのまま使う分には著作権違反を気にする必要はないようです。
ロゴに商標権があるだろうと、画像をトリミングしたりして時間を無駄に使ったのは内緒です。
ちなみに、フランク・R・ポールの画集も出ているようです。
Frank R Paul: The Dean of Science Fiction Illustration
- 作者: Jerry Weist,Glynn Crain,Roger Hill
- 出版社/メーカー: Idea & Design Works Llc
- 発売日: 2013/02/12
- メディア: ハードカバー
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表紙のこの画像、
q.hatena.ne.jp
の私の回答で特定した、スターログ1981年2月号の表紙でも使われていたりします。
これもフランク・R・ポールだったんですね。